「オープン・イノベーション」のメリットとデメリットを理解しよう

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前回は、「オープン・イノベーション」という概念について、これまでの歴史や成り立ち、そしてその言葉の定義や意味、そして今後の企業経営や新規事業開発におけるアプローチとしての重要性についてご説明させていただきました。
今回は、この「オープン・イノベーション」を活用する際に企業が理解しておくべきメリットとデメリットについて、書いていきたいと思います。

オープン・イノベーションのメリット

オープン・イノベーションの活用における経営上のメリットは大きく3つあります。

一つ目のメリットは、事業推進のスピードを大幅に向上できる可能性があることです。
通常、何らかの技術や製品を開発する際に、自社内だけの経営資源でそれを成し遂げようとする場合、調査・研究・企画/設計〜開発、またその後のマーケティングや営業を通じた収益化まで、多くの時間を要します。
しかし、もし仮に有効な外部資源を上手く活用することで、その技術や製品の開発を進めることができた場合、実現までのスピードは大幅に向上させることができる可能性があります。不確実性が高く、変化の激しい昨今の経済環境において、スピーディに開発し、立ち上げることができることの価値や意義は言うまでもないでしょう。
単にスピードを早めるだけでなく、いち早く開発を実現し、新しい市場に投入することで、競合や代替品との差別化や優位性構築を図り、先行者利益を得られる可能性も期待できます。

二つ目のメリットは、開発や実現に向けてのコストを大幅に削減できる可能性があるということです。
既存の外部資源を活用して技術・事業を開発していくアプローチにおいては、自社内ですべて内製化して事業推進を行うケースと比べて内部の管理コストも含めて大幅に削減可能であることは想像に難くありません。
これまでオープン・イノベーションへの取組みを行ってこなかった企業が実施する場合、当然ですが初期にノウハウや経験を蓄積するフェーズにおいては、一部コストが先行する部分もあり得ますが、中長期的に見てコスト削減につながることは明白です。

三つ目のメリットは、オープン・イノベーションへの取り組みを通じて、自社内の経営資源や競争力となる技術や特許・知財などを改めて整理し、今後の企業の経営戦略・成長戦略の構築にもポジティブなフィードバックが得られるという点です。
一口にオープン・イノベーションと言っても、自社の経営資源の全てをオープンにすれば良いというものではありません。後述するデメリットの部分とも関連しますが、オープンにすべき部分と、クローズドにすべき部分、それぞれの性質や特徴を把握した上で、経営に臨むことが重要です。そのプロセスを経ることで、今後の企業の経営戦略や成長戦略を検討する上でも参考になる非常に有用な気づきや情報を得られることもあります。

オープン・イノベーションのデメリット

では、一方でオープン・イノベーションに取り組むデメリットにはどのようなものが考えられるでしょうか。私は下記の3つが重要な観点だと考えています。

まずは、オープン・イノベーションに取り組む上では、これまでとは違う考え方やノウハウ、人材や体制などが必要となる点です。
これまで自社の内部だけに閉じてきた企業が外部企業と積極的に連携し、双方の経営資源を有効活用していこうとした場合、そこには経験にない類の知識や交渉・コミュニケーションが大量に発生する可能性があります。
実際に、これまでに私自身が支援してきた会社でも、初めてオープン・イノベーションに取り組む際においては体制構築も含めた多くの手間や人手を要し、オペレーション・業務フローもすべてゼロから構築したため、一定の労力やコストがかかりました。仮に外部の専門家をプロジェクト体制に招き入れたとしても、継続して自社で取り組みを行っていくためには自社内の体制構築や人材育成は欠かせません。
オープン・イノベーションに取り組む際には、相応の覚悟を持って取り組む必要があります。

次に、自社のアイデアや技術情報などが流出したり模倣・盗用されるリスクがあるという点が挙げられます。
外部の企業との連携を図っていく上で、自社のアイデアや技術といった経営資源に関する情報を公開にする必要性が出てきますが、その公開する情報によっては自社の機密性の高い研究開発の状況や特許・知財に関する情報や技術/製品のアイデアなどが競合を含めた社外に流出してしまう可能性があることは否定できないかと思います。
この情報漏洩や盗用・模倣に対する対策としては、前述の通り、何をオープンにして、何をクローズドにすべきか?という事前の戦略や設計が重要になってきます。

最後に、オープン・イノベーションを通じて外部との連携を強化していくことで、自社のコアコンピタンスや中長期的に優位性を維持できるような技術や研究開発を強化していこうとする志向性が弱まってしまうリスクがあります。
前述の通り、オープン&クローズドの戦略を明確に持っておかない場合、外部企業との連携を強めることで、本来であれば自社内で優位性を創り上げるべき領域に関する投資や事業推進が疎かになってしまうケースも起こり得るので注意が必要です。

上記のメリット・デメリットをしっかりと理解した上で、オープン・イノベーションの活用を検討していく必要があります。
次回は、何をオープンにすべきで、何をクローズドにすべきか、という観点で書いてみたいと思います。

 

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