古民図書室ほたる荘の蔵を改修して誰もが使えて誰もが学べる "ものづくりスペース” を作る!
- いったいいつから「失敗」から学べなくなったのだろう。いったいいつから学びの場から「オトナ」が消えたのだろう。いったいいつから「学校」だけが学びの場になったのだろう。私たちは築100年の古民家蔵を “ものづくりスペース” に改修して、オトナも子どもも自由な発想で失敗を恐れずにチャレンジできる学びの場をつくります。オトナも子どもも熱中できるものづくり空間。そこには「教える」「教えられる」を越えた「学び合い」があります。
ほたる荘とは
- みなさんこんにちは。プロジェクトメンバーの杉川幸太です。私たちは広島県東広島市の志和堀にある「築100年ほどの茅葺古民家」を誰もが使える図書室「ほたる荘」にリノベーションし、みんなで使いながら保全する活動を行なっています。
ほたる荘は2017年4月に図書室としてオープンしました。オープン以来小さな子どもから大学生や子育て世代のみなさん、そしてご高齢の方々まで、様々な世代や所属の人たちが自然と集まり、交流が生まれています。本を読んだり借りに来られる方以外にも、カフェを楽しんだり、畑仕事をしたり、外を駆け回ったり、イベント会場として使ったりと、人それぞれに自由な時間を過ごします。昨年の12月には、茅葺屋根の原料となる茅を地域内で調達するための「茅場 (ススキ畑)」をつくるプロジェクトを、大学の先生や学生、茅葺職人さん、そして地域の方々と一緒にスタートしました。一歩ずつ、少しずつですが、多くの人が関わる形での茅葺古民家保全が進んでいます。 誰もが使えて誰もが学べるモノづくりスペース
- ほたる荘の活動の中で、私は、子どもや若者のキラキラと輝く目を、たくさん見ました。そして、子どもや若者の輝く目を見たオトナの目も、輝いていました。誰も「学びたい」と思って何かをやっている訳ではないけれど、気がついたら目を輝かせながら目の前のことに没頭している。それは目の前にワクワクする世界が広がっているから。そのワクワクする世界に安心して飛び込んでいけるから。子どもとかオトナとか関係ない。どこに属しているかも関係ない。成功するとか失敗するとかを考えずに、自分の心に正直になって何かに没頭できる環境こそが本当の学びの場なのです。
- 年齢とか所属に関係なく人々が集まり関わり合えるこのほたる荘の環境を活かし、安心して好きなことに没頭できる「学びの環境」をつくっていきたいと思います。その第一歩としてオトナも子どもも失敗を恐れずにチャレンジできる「ものづくりスペース」をつくります。
私が考えるモノづくりは、木工作や電子工作などの俗に言うモノづくりだけではありません。農業や水産などの第一産業と呼ばれる分野や、料理や調味料づくりなどの飲食に関わることも。もちろん写真や映像、物書きも。私たちの生活に関わる全ての工程に「モノづくり」が含まれています。幸いにもほたる荘には畑があり、広いキッチンもあります。周辺地域には有機農家さん、大工さん、映像クリエーターさん、物書きさん、、、色々な形でモノづくりを行っている方々がいらっしゃいます。そして車で30分ほどの距離に広島大学があります。こういったほたる荘の恵まれた環境とほたる荘に関わってくださる人材を最大限に活かし、様々な分野の「モノづくり」が行える環境を作っていきます。その拠点として、蔵を改修してものづくりスペースにします。 「つくれば工房」の紹介
- ほたる荘の活動の中には多くの出会いがあり、多くのプロジェクトが生まれています。この「モノづくりスペースプロジェクト」に主に関わってくださる「つくれば工房」さんと「学生団体scale」さんを紹介します。
<つくれば工房>代表:遠藤一太さん
遠藤太一さんとの出会いなしには、このプロジェクトはスタートしませんでした。蔵内でのモノづくりスペース「つくれば工房」の管理運営を行なっていただきます。遠藤さんから「つくれば工房」のことを紹介いただきます。
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「つくれば工房」を主宰している遠藤一太です。つくれば工房は電子工作や木工作、手芸など、「ほぼ何でも」自分で自由に作るものづくりの場です。材料は各自が持ち込み、作品は本人が持ち帰ります。共通的な工具や機器類は貸し出します。3Dプリンターやレーザーカッターも所有しており、自由に使っていただけます。
ものづくりの楽しみを広めたい、自分で企画して実現を目指す人を増やしたい。その苦労と楽しみを共有したい。そんな思いから、5年前に有志メンバーで「つくれば工房」を立ち上げました。毎週末に工房を開室し、メンバーや一般の方々とものづくりを行なってきました。それから色々な地域イベントに参加することで、体験会やワークショップ、講習会を開いて来ました。
小さな子どもから年配まで、誰であっても何歳であっても学ぶことは喜びであり、また有用でもあると考えます。「つくれば工房」が (子どもや退職者だけでなく誰にとっても) 「ものづくりを通じていつの間にかいろんなことを学んでしまう」場になることが願いです。
事情によりこれまで活動を行なっていたオフィスビルが使えなくなりました。これを機会に新しいことにチャレンジしたいと考えながら、活動拠点を探していました。そんなとき、「ほたる荘」に出会いました。ほたる荘には小さな子どもから大学生や子育て世代のみなさん、そしてご高齢の方々まで、様々な世代の人たちが自然と集まっています。この光景を見たときに、「ここなら私が目指す “誰もが学べる場所づくり” ができそうだ」と、直感的に感じました。ほたる荘に来られるみなさんと一緒にモノづくりを楽しみながら、共に学べたらと思います。 「広島建築系学生団体scale」の紹介
- 続いて、ほたる荘プロジェクトに初期から関わってくれている「広島建築系学生団体scale」の紹介です。蔵の改修作業を担当してくれます。現代表の神谷さんのコメントです。
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みなさんこんにちは。広島大学建築学科3年の神谷友理子です。広島建築系学生団体scaleの代表を務めています。私たちはscaleは大学での学びをより深めるために大学内外で建築に関わる様々な活動を行なっています。ほたる荘プロジェクトには、ほたる荘がまだただの空き家だった2016年5月から関わっています。ほたる荘の改修作業では、井上工務店の井上社長に指導をいただきながら、床下の補強や壁の塗り替え、床貼り、そして本棚づくりや内装まで、普段は経験できない多くのことを経験してきました。最近はほたる荘と同じ志和町内にある「寺東の家」と呼ばれる古民家をシェアハウスにリノベーションするプロジェクトにも関わっています。
私たちはほたる荘プロジェクトの中で、多くの失敗をしました。ノミの扱いに慣れていなくて刃をボロボロにしてしまったり、計測を間違えて本棚の一部がはみ出してしまったり、予定通り進まなくて日程が大きくずれ込んだり、、、。でも、ほたる荘には失敗を失敗と思わない雰囲気があります。「じゃー、こうしたら?」「それくらい大丈夫よ」「もう一回やってみたら?」。そんな言葉をたくさん聞きました。そんな失敗を失敗としない雰囲気の中で、私たち学生はのびのびと好きなことに没頭することができ、本当に多くのことを学びました。
今回のプロジェクトで蔵を改修して「失敗をおそれずに好きなことにチャレンジできるモノづくりスペース」をつくることで、私たちと同じようにたくさんの人がほたる荘で失敗をして、そして学ぶことを楽しみにしています。
【資金の用途】
- みなさまからいただいた資金は以下の用途に使用します。
蔵の改修費 (床下、床、壁、電気工事など)
蔵の内装工事 (本棚、机、照明など)
ものづくり関係の工具・機具類
蔵の周辺空間 (キッチン) の改修
その他 (リターン品の費用および送料、手数料) 最後に
- 最後までお読みいただき、ありがとうございます。ほたる荘がある志和地域は、日本に多く存在する農村地域と言えます。小学校の統廃合も進んでいます。日本全体の人口減少が止まらず、一方で都市部への人口集中も止まらない状況で、農村部の急激な人口増加は基本的には期待できません。それでも、多くはありませんが志和地域を選んで移住してくる若い家族がいます。そして、志和地域で生まれる新しい命があります。日本全国、似た状況にある農村地域は多いと思います。
地方の元気の源は、多様性です。都市部では同じ考え方を持った人たちが集まるだけでも、十分にコミュニティができます。しかし、地方部ではそうはいきません。考え方が違う人たちがお互いを許し合いながら関わっていかなければ、コミュニティの維持はできません。この多様性こそが都市部にはない地方の特徴であり、強みです。そして、その多様性の中にこそ、本当の学びがあるのです。地方が大切にすべきは、誰かが意図して作るわけではない、人と人の関わりで自然と作り上がる学びの場だと思います。そして、その学びの環境づくりこそが、もうすぐで100歳を迎えるこの茅葺古民家「ほたる荘」の新しい役割であり、ほたる荘を次世代に残す意義になっていくと考えています。皆様と一緒に、ほたる荘に新しい命をふきこめたらと思います。ご支援をどうぞよろしくお願いします。 追記
- 2018年7月6日前後に発生した「平成30年7月豪雨 (西日本豪雨)」。このページをご覧いただいた方の中にも大変な被害を受けられた方も多いかと存じます。一日も早い復旧を願っています。
ほたる荘がある志和町でも大規模土砂崩れや川の氾濫が発生し、一時孤立状態になるなど、各所で被害が出ました。
私 (杉川幸太) は普段は八本松に住んでおり、災害発生当日は志和町に入ることができませんでした。ほたる荘の状況も把握できずに心配していましたが、ご近所の方が土嚢を積むなどの対策をしてくださり、室内などへの浸水もなく、無事でした。こちらからお願いをした訳でもないのに、私たちが来れない状況を予想してくださり、大雨の中家を守るための対策を行なってくださった近所のみなさんに心から感謝すると同時に、家をみんなで守るという文化を身を以て体験しました。
実はこのクラウドファンディングは8月1日にスタートする予定でした。しかし準備が少し遅れたところで豪雨災害が起こり、多くの方が苦しんでおられるこの状況でクラウドファンディングをスタートしていいのか、本当に迷いました。しかし、志和町での災害復旧ボランティアを通して、"町の力” の大切さを痛感しました。交通網が麻痺してスーパーやコンビニから商品が消えたときに、いつも通りにそこにあったのは「地元で作られた豆腐や野菜、飲み物」でした。地域に直接出荷できる牧場が残っていれば、そこに肉や牛乳もあったでしょう (志和の牧場 “松島牧場” は奇しくも7月末で廃業されました)。災害復旧作業のときに、若い力があればもっともっと復旧は早いでしょうし、高齢のみなさんへの負担は小さくなるでしょう。地域のお祭りなども中止にならずに済んだかもしれません。町が元気でいるためには、若い力が必要です。
学びの場は、地域に若い人が根付くための土台になります。
子どもや若者が自由に発想しそれを形にできる環境は、町を元気にします。
今だからこそ、こんなときだからこそ、このクラウドファンディング をスタートさせようと思いました。
みなさんと一緒に、日本の片田舎にある古民家蔵を、最高に楽しい、ワクワクする学びの場にできたらと思います。
(2018年9月 杉川幸太)